動物は生きるためのエネルギーを摂取するために「食べる」という行為をしています。人はそれに対して料理という作業を行うことにより様々なバリエーションに富んだ食べ物を食べることが出来るようになりました。さらにそれぞれに対して「おいしい」「おいしくない」という感覚をもって生活をしています。
摂食嚥下リハビリテーションにおいても患者さんによって反応の良い食べ物や「まずい」「おいしくない」と言って好き嫌いが分かれるケースが多いです。
今回はその「おいしさ」についてみていきましょう。
「おいしさ」のタイプ
おいしさは4つのタイプがあると言われています(京大 伏木ら)
① 生理的なおいしさ
体に必要な栄養素を含む味がおいしいと感じる感覚で疲れた時の糖分や汗をたくさんかいた時の塩分など、人や動物に共通の生理的な感覚となります。
②文化的なおいしさ
幼少のころから食べ慣れた味がおいしいと感じる感覚で、人の文化の上で発展してきた食の歴史に合致するものはおいしいと感じます。
③情報によるおいしさ
高級・本格的・安全などの情報から与えられたものに感じる感覚で脳内の味覚処理に強い影響を及ぼします。
④やみつきのおいしさ
砂糖や油、旨み成分など脳に直接的に影響して快感を与えるもので単なる生理的なおいしさとは区別されます。
おいしさを感じる感覚
おいしさは上記でみてきたようにただ単に味覚による感覚によるものだけでなく他の要因にも左右されることがわかったと思います。おいしさを感じる感覚としては「視覚」「聴覚」「嗅覚」「味覚」「食感」などがあります。
①味覚や嗅覚で感じる味わい
味覚は5大味覚があります
甘味 ショ糖、果糖、ブドウ糖などエネルギー源となる糖質
塩味 食塩などミネラル成分、魚や肉その他の食材をおいしくします
酸味 酢酸、りんご酸、クエン酸など柑橘系のくだものなどさわやかさを出します
苦味 カフェイン、リモネイドなどビールやコーヒーなど大人が好む味わいを出します
うま味 グルタミン酸、イノシン酸など昆布や鰹節に多く含まれます
嗅覚で感じる香りは2種類あります
鼻先香 食べ物を口の中に入れる前のかおり
口中香 食べ物を口の中に入れた後のかおり
があり食べ物の本当のかおりは口中香で感じることが出来ます。
②触覚や聴覚で感じる食感
やわらかさや硬さなど硬度、もちもち感などの弾力やサクサク感などの弾力、温かさや冷たさなどの温度によって感じる食感も重要です。
③脳で理解する情報
食前に入る視覚による情報(食器や彩りなどの見た目)やどこどこ産、高級食材などの事前に入手している情報なども脳が感じる感覚に影響をおよぼします。
「おいしさ」を構成する要因
食べ物の特性
化学的要因 味 におい 色
物理的要因 硬さ 外観 温度 音
上記で説明した感覚で全身を使って感じる要因です。
生理的要因
年齢 健康状態 空腹状態
子供の頃に食べれなかったものが大人になり食べれるようになったり、風邪を引いた時に油っこいものを受け付けなくなるのも生理的要因となります
心理的要因
喜び 怒り 悲しみ 緊張感
好きな人との食事や楽しい食事会は良い影響を与え、負の緊張感のある食事は悪い影響を与えます
環境要因
季節 気温 気候 文化
暑い季節には冷たいもの、寒い季節にはあったかいもの、食べ慣れたものなどはおいしく感じられます。
おいしさを構成する要因は食べ物側にあるだけでなく食べる側の環境によって大きく左右されます。
簡単ですが、おいしさについて見てきました。黙食などコロナ禍を通じて広がりをみせましたが食事はただ単に栄養を補給するだけのものでは無く、その場の雰囲気などの影響が大きいことがわかります。楽しくおいしい食事をして人生を豊かにしましょう!
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