嚥下を確認するサインとして喉頭の挙上は外からよく見えるので良い目印になります。
舌骨と喉頭を挙上するには下顎が固定されている必要があり、実際に自分自身でやってみるとわかりますが、上下の歯が噛み合ってない状態での嚥下は難しいです。
実際にやってみましょう!
試しにお口を開けた状態で歯を噛み合わせずに唾液を飲み込んでみてください、飲み込めなくはないですが何か変な感覚になると思います。
今度はお口を閉じた状態で噛み合わせずに唾液を飲み込んでみて下さい、この場合も何か違和感があるはずです。
最後にお口を閉じてしっかりと噛み合わせた状態で唾液を飲み込んでみて下さい。安定してしっかりと唾液を送りこめているのが感じられます。
普段は無意識に行っている場合が多いので意識して飲み込む行為だけでも難しいですが、お口や噛み合わせの状態が変化するとさらに難しくなります。
RSST(反復唾液嚥下テスト)
これらの唾を意識的に飲み込む評価をRSST(反復唾液嚥下テスト)と言って、簡易嚥下評価で良く実施されます。こちらもやってみるとわかりますが結構難しいです、お口が乾いて唾液の分泌が悪かったり、お口の筋肉が衰えていると飲み込むまでに時間がかかってしまいます、30秒間で3回出来ないと嚥下障害の疑いがあります。
下顎の固定はなぜ重要なのか?
舌骨・喉頭の挙上は舌背の口蓋への押しつけ強化、喉頭蓋の反転による喉頭口の閉鎖、食道入口部の開大、舌根の後下方への移動に連動して起こります。その前提条件として下顎の固定が重要になって来ます。
実施に入れ歯を使っていない無歯顎者の嚥下時の状態を調べてみると下顎の固定が難しく歯茎に頬や舌を挟んで固定している様子が確認出来たそうです。
入れ歯を装着することは咀嚼にばかり重要視されますが、適切な顎位で適切な咬合を与える事が出来れば咀嚼だけでなく、嚥下をする際に下顎を固定するという意味や噛む事で嚥下に関わる筋肉を鍛えるという意味でも重要になってくると思います。
義歯装着による嚥下機能回復
入れ歯は必ずしも必要なのか?
今まで説明したように下顎の固定は重要ですが、ぴったり合った入れ歯を作製すればすぐに食べれるようになるわけではありません。
入れ歯を使っていなかった期間の長い方は嚥下する時のパターンが変化してしまっているため入れ歯を入れる事により逆に飲み込みが悪くなるケースもあります。
入れ歯をいれていない状態ではどのように顎を固定しているかというと舌を顎堤(歯茎)で挟んで固定をしています。ですので入れ歯がなくても嚥下を安定して行うことが出来ます、ペースト食の場合は入れ歯がない方が誤嚥はしにくい場合もあります。
入れ歯が必要なケース、効果があるケースなど人それぞれ対応が変わりますので、飲み込みに詳しい歯科医師に相談して作るかどうかは判断しましょう。
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