誤嚥性肺炎は誰にでもわかるお食事の時の誤嚥により起こるものではありません、胃瘻を造設した患者さんにおいても誤嚥性肺炎は充分に起こる可能性があります。
嚥下反射、咳反射が低下してむせる症状の無い状態の誤嚥を不顕性誤嚥と言います。むせる症状があることも少ないですが、元気がない、食欲がない、微熱が続くなどは疑われる所見
になります。
不顕性誤嚥は仰臥位で夜間唾液が肺内に誤嚥することが多く、日中の覚醒時におこなう嚥下評価では不顕性誤嚥のリスク評価にはならない点に注意する必要があります。
そういった意味でも口腔衛生環境の改善は重要であり、口腔ケアは誤嚥性肺炎を予防する上で欠かせないものであると考えております。
不顕性誤嚥は何でわかる?
不顕性誤嚥はその名の通りある程度悪化するまで症状が出にくいので、摂食嚥下機能検査をすることで診断することが出来ます。
誤嚥性肺炎のほとんどは夜間の不顕性誤嚥が原因とも言われています!
❶MWST(改訂水飲みテスト)
3mlの水を飲んでもらい、嚥下の有無、むせ込みや呼吸状態により判定する方法です。
この検査時にむせ込みが見られずに安心してはいけません。
この時に行う頸部聴診で嚥下前や嚥下後に湿性音が認められる場合は疑わしいです。
嚥下内視鏡検査でも確認することが出来ます、ただし嚥下前と嚥下後しか観察できませんので嚥下中にある場合は判定出来ません。色々な食材を用いることが出来る検査なので誤嚥リスクの高い食材やトロミ付けなどを観察することが出来ます
❸VF検査(嚥下造影検査)
嚥下造影検査が最も確実に不顕性の有無を確認することが出来ます。
姿勢や食形態を変更しながら誤嚥の有無を確認します。
MWST(改訂水飲みテスト)とは?
3ml のお水をシリンジで舌下部に注入し嚥下してもらい、嚥下音、呼吸音を頸部聴診する
簡易的に行われる嚥下機能評価です。
判定基準
1a :嚥下なし、むせなし、湿性嗄声or呼吸変化あり
1b :嚥下なし、むせあり
2 :嚥下あり、むせなし、呼吸変化あり
3a :嚥下あり、むせなし、湿性嗄声あり
3b :嚥下あり、むせあり、湿性嗄声あり
3c :嚥下あり、むせなし、湿性嗄声なし、呼吸変化なし、口腔内残留あり
4 :嚥下あり、むせなし、湿性嗄声なし、呼吸変化なし
5 :嚥下あり、むせなし、湿性嗄声なし、呼吸変化なし、
追加空嚥下が30秒間以内で2回可能
判定不能:口から出す、無反応
不顕性誤嚥を予防するには?
①誤嚥しにくい姿勢で食事をする、寝る時の姿勢も整える
姿勢は重要で誤嚥しにくい頸部前屈位やリクライニング位、側臥位など様々な対応が考えられます。ご自身で姿勢を整えられる方はお食事時のテーブルの高さや椅子の高さの調整、ご自身で難しい場合はマットなどを挟んで体幹をいじできるよう整えましょう。
②誤嚥しにくい食形態に変更する
嚥下反射が間に合うようにトロミづけをすると誤嚥のりすくがぐっと下がります。またバラバラになりにくいまとまった食材や介護食を用いることでも誤嚥リスクを軽減することができます。
③嚥下リハビリをする
嚥下に関連する筋肉のリハビリや反射を促すトレーニングである程度改善がみられることがあります。劇的な回復は難しいかもしれませんが続けることで機能維持や改善が見込まれます。
④口腔ケアをする
口腔ケアを行うことで誤嚥性肺炎になるリスクが下がることがわかっています。
誤嚥性肺炎だけでなく心疾患、糖尿病などの全身疾患と歯周病の関わりもわかってきていますので口腔内を清潔に保つことは重要です。
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