歯科治療を何度もしていると、何回も取れたり虫歯になったり治療を繰り返す事が多々あります。きちんと治療をしているのかと不信感を持つ方もいるかもしれませんが、虫歯をしっかり取り除いて詰め物もピッタリと合わせても再発する場合があります。
これは患者さんの持つ唾液の性質、量、噛み合わせ、元からの歯の成分などの遺伝的な要素やプラークコントロールや噛み合わせのストレス(歯軋りや食いしばり)などの環境的な要素にも左右されます。
歯科でいう一般的な治療は虫歯で無くなってしまった硬組織を人工物で置き換える補綴と呼ばれる治療、痛みを取るために神経を除去して細菌が繁殖しない様に空間を埋める根管治療、歯周病で腫れたり骨が溶ける進行を抑えるための歯周治療が主なものです。
治療で重要なのは原因となる細菌除去や力のコントロール、宿主側の免疫力を高めることです。
医科では殆どが対症療法が行われており、高血圧を抑えるために降圧剤を飲む、熱を下げるために解熱剤を飲むという対症療法が治療と認識されています。
病気になる原因に対しておこなうのが原因療法、病気で出た症状に対しておこなうのが対症療法です。
歯の治療の最終的に行き着く先は抜歯
経験がある方もいると思いますが、最初に小さい虫歯を詰め物で治療して、その後また虫歯になり大きい金属の詰め物になり、今度は神経までいった為神経を抜き全体の被せ物になり、今度は根の先が感染したといい根管治療をして、今度は歯が割れたといって抜歯なんてケースの人がいます。
これが歯医者は破壊者だと揶揄される所以です。
大半の歯医者はその時々に最善を尽くして治療しているとは思いますが、何故こんな事が起こってしまうのでしょうか?
答えは上記にも述べましたが原因に対してのアプローチが足りない事、所詮人工物に置き換えているだけの2点に尽きます。
唾液の成分が悪く、分泌が少ない方は虫歯リスクが劇的に高まりますので、普段のお手入れや口腔内乾燥に対する対応が必要です。
噛み合わせが悪かったり、噛み合わせのストレスが大きい方はナイトガードによる力の分散噛み合わせの改善が必要です。
そもそも何でもそうですが、永遠に持つ物など存在しないので普段のメインテナンスやお手入れは非常に重要になります。さらに言うと天然のエナメル質、歯周組織よりも良い材料は存在しないため虫歯にならないよう、歯周病が進行しないよう口腔内の状態を改善する必要があります。
プラークコントロールが治療だ
先にも対症療法と原因療法のお話をしましたが、虫歯や歯周病の原因は細菌です。細菌を完全に除去して無菌化する事は不可能なので出来るだけ減らす環境を作る事が大切です。
それは日々の食生活の改善、歯ブラシやフロスなどによる清掃などプラークコントロールが重要になります。
実は歯科の治療はこちらが本丸になります、歯科医院で出来る事は限られており治療をしたあとのケアの仕方をアドバイスする事、食生活に問題が無いか指導する事、噛み合わせのコントロールをする事が非常に重要です。
医科においても同じ事が言えて高血圧になる食生活や運動習慣の改善が治療で、薬を処方するのは対症療法でしかありません。
MTM(メディカルトリートメントモデル)
最近では多くの歯科医院が予防の概念を取り入れて行っていますが、この概念を持ち込んだ第一人者が山形の熊谷先生です。
メディカルトリートメントモデル(MTM)とは、初期のリスク評価から、個々の患者さんに合わせた予防プログラムの立案、最小侵襲治療などを行い、定期的なメインテナンスに至るまで流れです。
* 日吉歯科診療所HPより抜粋
この個々の患者さんに合わせた予防プログラムという所が重要でそれぞれリスクや対応は異なりますので、遺伝的要素、環境的要素に合わせた計画を立案できるのが理想です。
近年ようやく厚労省が予防に力を入れてきたおかげで保険診療でも予防による診療報酬が追加されるようになりました。歯科医院で削ったり詰めたり被せたりするだけで無く歯科衛生士による口腔管理の重要性が高まってきています。
患者さん側も欠けたり痛くなってからでは無く予防のために通院したり、きちんと日常でお手入れ出来ているかのチェックで歯科医院に行くと良いでしょう。
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