全身状態が回復し間接訓練から直接訓練を開始する際は出来るだけリスク管理をした状態で始めたいと考えると思います。
直接訓練を始めるにあたっては、当然誤嚥や窒息などリスクが伴うので患者さんの状態をモニタリングしながら行うなど注意が必要となります。
口腔ケアをしっかりと行なってから行う、むせ込みや酸素飽和度の低下、体調の変化があったら中止するなどしっかりとリスク管理をして行う必要があります。
それではどのような点に注意して行ったら良いか細かくみていきましょう!
前提条件
言語聴覚士協会が出している前提条件というものがあります。
・意識が覚醒 JCSで一桁 *意識レベルの指標
・全身状態安定:重篤な併存症なし バイタル安定 脱水・栄養障害なし
・呼吸状態安定 SPO2 95%以上 呼吸数20回/分未満
・唾液、少量の水で嚥下反射あり
・口腔内が清潔で湿潤している
これら全部の条件を満たす必要は無いと思いますが、基準となる項目なのでチェックは必要です。
必要な検査
VEもしくはVFによる画像診断はあったほうが良いです。機材が無い場合は再評価でどのくらい回復もしくは改善されているかをチェックします。
不顕性誤嚥や残留の有無、反射の遅延などは誤嚥リスクの非常に重要なファクターでありますので、長期間経口摂取をしていない場合はもちろん現在の状態を把握する必要があります。食べ方や姿勢などで補完することでより安全に食べれる状況を作ることも出来ます。
嚥下調整食
ゼリーなど誤嚥しにくい食形態を用いることで、誤嚥リスクを軽減出来ます。
それぞれの患者さんにあった食形態を提供することは重要です。
実際の訓練方法
①誤嚥しにくい姿勢を保持できるよう調整します。
②口腔ケアを行い、口腔衛生状態を良くします。
③パルスオキシメーターを装着しモニタリングします。
④患者さんを良く観察し、一口量も調整しながら介助して食べてもらいます。
お口の動きや喉頭挙上を良く観察し、必要があれば聴診器で嚥下音、嚥下後音をモニターします。
⑤酸素飽和度の数値と発声をしてもらい咽頭残留を予測します。
必要があれば咳嗽、交互嚥下、追加嚥下を支持し咽頭部の状態をクリアにします。
⑥口腔内の残留も確認して次の一口に移ります、誤嚥や残留が高度な場合は中止します。
いずれにせよ嚥下機能評価を実施し必要であれば嚥下内視鏡検査で可否を判断し、最終的には主治医による総合的な判断が必要になります。
体調の変化があれば早期に中止することも重要です、肺炎になってしまうと全身状態も低下し再び経口摂取することも困難になるケースも多いです、リスクばかりを恐れる必要はありませんが対策は必要となります。
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