ミールラウンドとは食事の観察の事で、食事の仕方や姿勢、量、飲み込みの反応、
口の動き、咀嚼の具合、食塊形成の程度などを確認します。
摂食嚥下機能評価をするうえでミールラウンドはとても重要で他の検査と違い実際の生活の中での評価になるのでとても参考になる方法です。
実際にはどのような項目をみていくのか細かくみていきましょう。
ミールラウンドで確認する項目
①食べ物の認知
認知症や半盲状態で空間の認知機能に支障をきたしている場合は食べ物の位置や食器の色などを変える事で認知される場合もあります。
認知症が重度になってくると食べ物自体の認知機能が落ちる失認の状態になっているケースも多いです。また1日の時間帯によっても覚醒状態が異なる病態の時も状態によって認知機能の変化が見られます。
目の動きや認識してからの手や口の動きに注目しましょう。
②食具の使用
脳梗塞などによる片麻痺やリウマチによる関節痛で食具を動かしづらくなる場合や認知症による失行でお口まで運ぶ動作が出来なくなる場合があります。
③一口量・食事のペース
一口量が極端に多かったり少なかったり、早食いになってないかもしくは時間がかかりすぎていないかも何か原因が隠されている事があります。
④食べこぼし
麻痺による口唇閉鎖不全でお口が閉じなかったり、食具をうまくお口まで運べない場合、お口のなかに食物が残渣する場合などは食べこぼしをしやすくなります。
⑤咀嚼から嚥下反射まで
きちんと咀嚼している場合は上下運動だけでなく食べ物をすりつぶす動きがあり、口角が動きでわかります。また食塊形成から嚥下反射までの動作も喉頭の挙上で確認が出来ます、なかなか喉頭が挙上しない場合は口腔内にためこんでいる可能性があります。
溜め込みは認知症でよくみられる失認・失行の状態です。
⑥むせ込み・咳
食事中のむせ込みや食後の咳などは誤嚥のサインになります。
どんな食材でどのタイミングでむせ込むかは重要な指標となります、液体でむせ込む場合は液体誤嚥が疑われますし、食後の咳の増加も誤嚥が疑われます。
ミールラウンド後の対処法
① 色、見た目、香りなど食欲をそそる反応の良い食材を使う、味付けも味がはっきりしたものを使う
②③④持ちやすい取手のついた食具、スプーンの大きさに変更する、食材の大きさをカット
餡をかけて食材をまとめる
⑤噛まなくても良い食材に変更、溜め込まない反応の良い食材を交互嚥下させる、粘膜に付着しにくい食材に変更、食物と認知される食材を近くに置く、持たせる
⑥咳嗽が自分で出来る場合はしっかり喀出させる、むせ込みやすい食材はトロミをつける、交互嚥下させて咽頭部をクリアにする
実際は一人一人そこまでは手が回らないのが現状で嚥下評価やVE検査をした後には
簡単なリハビリで機能回復を目指すか、より安全に飲み込める食事を提案するのが主になってます。
ミールラウンドをすることによって問題点をより詳細に抽出する事が出来ます、検査時はどうしても日常の状態とは違う評価になってしまいますので日常の一コマを詳細に観察、もしくは動画で記録して確認するのは非常に重要になります。
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