スクリーニング検査やVE検査、VF検査を行い嚥下機能評価をした後に重症度の判定をする事があります。嚥下障害の重症度分類は色々な種類のものが考案されています。
下に代表的なものをご紹介します。
❶ DSS
摂食嚥下障害臨床的重症度分類( dysphagia severity scale : DSS)
誤嚥なし | 7正常範囲 | 臨床的に問題なし |
| 6軽度問題 | 主観的問題を含め何らかの軽度の問題がある |
| 5口腔問題 | 誤嚥はないが、主として口腔期障害により問題がある |
誤嚥あり | 4機会誤嚥 | 時々誤嚥する、もしくは咽頭残留が著名 |
| 3水分誤嚥 | 水分は誤嚥するが、工夫した食物は誤嚥しない |
| 2食物誤嚥 | あらゆるものを誤嚥、呼吸状態は安定 |
| 1唾液誤嚥 | 唾液を含めて全て誤嚥し、呼吸状態が不良 |
| | 嚥下反射が全く惹起されず。呼吸状態が不良 |
誤嚥があるかないかで大きく分類しスコアが小さいほど誤嚥リスクが高くなります
❷ FILS ( Food intake Level Scale )
摂食嚥下能力グレード(藤島の分類)
Ⅰ 重症 経口不可 | 1 嚥下困難または不能、嚥下訓練適応なし |
| 2 基礎的嚥下訓練だけの適応あり |
| 3 条件が揃えば誤嚥は減り、摂食訓練が可能 |
Ⅱ 中等度 経口と補助栄養 | 4 楽しみとしての摂食は可能 |
| 5 一部(1食〜2食)経口摂取 |
| 6 3食経口摂取プラス補助栄養 |
Ⅲ 軽症 経口のみ | 7 嚥下食で、3食とも経口摂取 |
| 8 特別嚥下しにくい食品を除き、3食経口摂取 |
| 9 常食の経口摂取可能、臨床的観察と指導を要する |
Ⅳ 正常 | 10 正常の摂食・嚥下能力 |
中等度嚥下障害 Ⅱ- 5 というような表記であらわします。
スコアが小さい程、誤嚥リスクが高く経口摂取が可能かどうか、補助栄養と併用かでグレードが変わります。
❸ FOIS ( Functional Oral Intake Scale )
レベル1 | 経口摂取なし |
レベル2 | 補助栄養に依存、少量の経口摂取を試みるのみ |
レベル3 | 補助栄養に依存しているが、継続的に経口摂取をしている |
レベル4 | すべての栄養・水分を経口摂取、1種類の食形態のみ |
レベル5 | すべての栄養・水分を経口摂取、複数の食形態、ただし特別な準備や代償法が必要 |
レベル6 | すべての栄養・水分を経口摂取、複数の食形態、特別な準備は不要だが、特定の食べ物は食べられない |
レベル7 | 正常 |
その名の通り、経口摂取栄養を取れる能力によってレベル分けされています。
代表的なものを3つ挙げました。必ずしも各分類に当てはまるものではありませんが様々なかたが関わる患者さんの状態を把握する指標にはなりますので嚥下評価で使用しております。
嚥下評価を行う時には様々な要素を加味して診断する必要があります、あくまで分類は指標でしかありませんので、それぞれの患者さんにあった対応が重要です。
嚥下評価に関してはこちらの記事をお読みください。
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